借り暮らしのアリエッティ


br />「日本は広大な土地を持っていながら、身元保証もさほど厳しくない国。

 なのに、日本人は自分のことは置いといて、私の腹の中を探るんですよ。

 シンガポールは人種のるつぼ。私の身元は厳しく管理されてるっていうのに。」

日本は広大な土地がある。

その言葉だけが印象に残っていた。

7月25日。私はシンガポールでお世話になるであろう、

現地在住の日本人の方にコンタクトを取った。

歌舞伎町付近のカツ飯屋でご飯を食べ、その後マックで長話。

お互い下戸だった。

私が知る限り、30代の起業家はあまり酒を飲まない。

私も絶対、飲まないと決めているワケではないので

一応居酒屋を提案するのだが、

「いや、実は・・・」

という返事になり、私も酒ありきで話しをしたいワケでもないので

結局は喫茶店やファーストフード店で長話をすることになる。

無茶な付き合い、上司とのマズい酒。

歓迎会、送迎会。深夜まで飲んで、どうでもいい会話。

酒で語るなんて、ナンセンスだよ。

酒にまつわる、そんな過去の思い出をお互いに暴露してから、

日本の未来・世界の未来について、語り合った。

8月2日。

私と妻は金沢に行き、シンガポールでお世話になるお客様に向けての

プレゼントを入念に選んだ。

高い品物である必要はない。

しかし、それまでの取引や雑談の中で一番相手が喜ぶと

思われるであろう品を1日かけて選ぶ。

たまに、お金で解決する方が楽だと思うことがある。

だけど、そうじゃない。

相手の立場に立って考え、相手のことを第一に考える。

それをメンドクサイと思うなら、このビジネスでは成功できない。

その後、レイトショーで「借り暮らしのアリエッティ」を観に行った。

チケットを2枚入手していたからだ。

私は映画を観ながら、冒頭の彼の言葉を思い出していた。

映画を観ていたら、痛烈に思い出してしまったのだ。

映画って、私にとって内容はどうでもいい。

ブルースリーの映画を観た後、「アチョー!」ってやりたくなるでしょ?

つまり、イメージと余韻だけが、私にとって映画を判断する基準。

そういった意味では、借り暮らしのアリエッティは疲れた。

なんとなーく哀愁漂う世界観。

暗い。

映画の最後でアリエッティは新しい土地に引越しをするんですが、

そこで刺激的で楽しい毎日が待っているとは思えない。

なんでなんだろう?

どうしてそんなに、悲観的なの???

この映画を観て、一体どんな感想を言って欲しいの?

新しいことをすると、「よっしゃ、やれ!」と諸手を挙げて賛成する人がいない。

人はモノを買い叩き、ビッグカメラで商品説明を聞いて価格.comの最安値の店で買う。

その歪んだ構図を、「歪んだ」と表現して誇張し、嘆く。

シンガポールに行くと言ったら、

「荷物に気をつけてね。盗まれないように。周りをキョロキョロしちゃダメだよ。」

たくさんの人に忠告をいただく。

海外販売をしていると言ったら、

アフリカや中国の密輸組織云々の、ピッキング用の器具が販売されているという

NHKの特番を紹介させられる。

だから、何だっていうんだ??

なんでリスクを回避することばかりに目が行って、

どうやったらうまく行くかを、前向きに検討しないの?

そこには素晴らしい世界が待っているというのに。

そして、私はシンガポールに行く。

いや、行けないかもしれない。

今朝、妻が国際免許証を取りに行ったら、

パスポートの名前が旧姓のままになっていて、

慌てて新姓のスタンプを押してもらった。

シンガポールも、ビザの申請ができる期間が2種類あるらしく、

正直こんな旅が初めての私には、何が起こるか想定の範囲を超えてしまっている。

たかだか3週間程度旅行するだけなのに。

だけど私は行くと決めた。

だったら後は最善を尽くすしかない。

「シンガポールに行くってすごい!世界を観に行くんですか!」

それも違う。それは自分本位の考え方。

私はシンガポールから、日本を観たいんです。

外から見た日本。

私はずっと日本に暮らしていて、内側の日本しか知らない。

お客様の立場に立つならば、世界の人が日本に抱く印象を聞く必要がある。

その情報は、世界に出れば容易に手に入る。

私が日本人だと言いさえすれば。

自分本位じゃあ、何かネット販売で多少売り抜けたとしてもそれで終わり。

そうじゃなくって、お客様の立場から私に出来ることは何かあるのかと考える。

で、チグハグになっている私の価値観を埋めるため、自分自身を変えていく。

冒頭の彼は、こうも言った。

「シンガポールは本当にグローバルな国で、

 人種間・貧富の差など格差もはっきりしてる。

 だから、ギクシャクしてるところもあるよ。

 私達は移民。ここに来たときに、甘い考えを捨てたよ。」

グローバル時代の到来。

アジアの世紀。

初めてのシンガポール。

初めて会う、お客様。

何が起きるか分からない。

だから生きている感覚を得ることができる。

私は地球の民。

インターネットのお客様と、オフラインで交流する。

そこには何が待っているのだろうか?

そこで何が起きるのだろうか。

本日、出発です。


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