1キロ1万円。


「ちょっとちょっと、そこのキミ。」

妻「なーに?」

相変わらず暑い日が続く。

私たちはエアコンの部屋に入り浸って、

ダラダラふざけあう。

妻は、料理が得意。

今日はアボガドサラダに豆腐をあえて

胡麻ドレッシングをかけた創作料理を私に振る舞ってくれた。

私「おいしーねー、これ。」

妻「でしょー?ピーンときたのだ。」

ほほう。

それは常に食べ物のことを考えているからですね。

と言ったら怒られるので、とりあえず最高の笑顔を見せておく。

私「ちょっとちょっとそこのキミ。」

妻「なーに?」

相変わらずの調子で私は話しかける。

しかし、さっきまでの私とは違うのだ。

言わなければならないことがある。

生ツバをゴクリと飲んで、

できるだけ爽やかに、さりげなく言葉に出す。

私「ちょっと痩せてみてはいかがでしょう?」

あっさり妻は返事をする。

妻「10月までには痩せるつもり。」

私「それ、もうかれこれ8年ぐらい聞いてるけど。」

妻「わかってるって、これから頑張るのだ。」

妻は、どうやら本気ではないようだ。

いや、もうあきらめているのかもしれない。

妻「じゃーさ、なんかくれる?痩せたら。」

私はとっさに、ひらめいた。

私「いーよ。じゃあ1キロ痩せたら1万円あげる。」

妻「うそーん。そんなら頑張るわー!  ん?・・・?」

妻は眉毛をひそめて真剣に考え事を始めた。

今まであまり見たことがないほど、集中している。

彼女は決意をしたのだろうか。

食事を私の半分程度に済ませ、

誰に話すでもなく、こうつぶやいた。

妻「1キロ1万円てことは、100グラム1000円か。ええ肉やわ。」

・・・。  誰が国産和牛と比較せぇと。


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