stickyimage

Menu

メイドが今度は心変わりしてヘロヘロに


メイドの身柄をエージェントに戻して
ラッキープラザの扉をくぐり抜け、
私はそのままオフィスに戻って仕事してた。

溜まってたメッセージを返さないと。

しばらく集中してて、数時間が経過した頃だろうか。
妻からLINEの電話がかかってきた。

「ねえ、なんか心変わりしたって連絡があって・・」

「え?何どういうこと、理解できないんだけど。」

「それが、私達がすごく良い人だと気づいたって。」

「いやもう遅いでしょ。二往復もして都度
 本当にいいの?って確認して荷物チェックもして
 最終的に自分から出ていったワケだし、
 エージェントの前でムリって言ったんだよ?」

「それが、頑張りますって言うの。本人と話してって
 言うから電話かわったら、ベッドはどこかに移動して
 部屋を片付けてくれたら私は問題ないって。」

あの人、動きが良かったわ。

小学校へ向かうバスへ送り迎えをする時、
同じバスに乗る日本人夫婦や妻も
メイドと毎日一緒になります。

日本人夫婦のメイドは動作もノロくて
どこかのらりくらりしてる所があって、
リュックも両側で担がないとズリ落ちて
危ないからと指示しても片側で担いだりしてる。

それが、私達のメイドは動作も俊敏で
バスの中まで娘を送り届け、
笑顔で見送っていたそうだ。

しかも昨日の夜ご飯の後、
コンロにこびりついてた固い焦げ付きを
キレイに磨いてくれていたとも聞いた。

なんだろう、奇行種なのかな・・。

思わず漫画の「進撃の巨人」に登場する
女型の巨人を連想して、もう顔がこわばる。

ビジネスでも、100%の赤字なんて無い。
売れてはいるんだけど、利益率が低すぎたとか、
良い面もあるんだけど悪い面がたまたま
上回ってしまったことがほとんどだ。

ここで彼女に戻ってきてもらえば
また新しい人を見つける手間も減るし、
飛行機のチケット代払わなくてもいいし。。

グラグラと気持ちが揺れる。
ふう、とため息をついた。タフだなあ。

こういうのが一番精神的にやられるんだよね。
経営者に男性が多いのは、こういう交渉事に
体力も精神力も使い果たすからだろう。

「で、VISAを切って2週間以内に次の雇用主を
 見つけるっていう方法もあるって。それだと
 片道切符を負担する必要もないみたい。」

「ふーん、まあそれでも良いかもね。」

前に聞いたイエローカードのやつだ。

「でも、その間に問題が起きたら雇用主の責任だし、
 2週間後に新しい雇用主が見つからなかったら
 結局、片道切符を買わないといけないし、
 しかも彼女に払ったお給料も戻ってこない。」

「えー?じゃあこっちが丸損じゃん。」

このまま戻ってきてもらうか、
それともレッドカードで国外に送り出すか。
二択しか無いということに絞り込めた。

ドバイとか中国人とか前職では
家族同然の扱いをされていたんだろうな。
厳しいと聞いていたけど、どうやら
前の雇用主はかなり甘やかしてたっぽい。

「当日クビにするのだけは辞めてください。」

ハウスルールを説明する時に、
私達に彼女が開口一番で言ったことを思い出した。

前のご家庭は、母親が同居することになって
全部の面倒を見てくれることになったから
次を探すことになったと聞いてはいた。

しかし真相は、母親が彼女が使っていた部屋に
明け渡す話をして彼女が拒んだから
即日解雇されたんだと気づいた。

なんか推理小説みたいじゃん。
家政婦はミタ、じゃなくて雇用主はミタ。

にしても、ルールに則って手続きを踏んで
初日から自分の都合を全面に押し付けられたら
それは家族を代表して、呑むわけにはいかない。

その態度はエージェントも見ているし、
妻も娘も、そしてこうやってこの記事を
読んでくれてるあなたにも示しがつかない。

しばらく天井を見上げる。

オフィスの天井は吹き抜けになっていて
コンクリ打ちっぱなしの開放的な空間を
焦点を合わせずに、ただただ眺めた。

ゲストルームに住んでもらったとしても、
ゲストよりメイドを優先するわけにいかないし。

子ども部屋にメイドを住まわせて
子どもよりメイドが良い部屋に
住むわけにもいかないし。

私は人手が足りないから雇ったわけで、
メイドはお金が欲しいから雇われたワケで。

人間関係さえ構築できていない初日から
自分の都合を最優先する人に譲歩する必要はない。

「アウト。」

ハマダ、アウト~
アカン警察のブザーが脳天に鳴り響いた。

私には深刻な決断をする時ほど、
陽気な音楽が鳴るクセがあります。

出来る限り行使したくない
レッドカードを切った瞬間だった。

初日にして、初回にして強制帰国させるのは
ネットで検索しても知人に聞いても誰も
行ったことのない超レアケースだ。

彼女は次の仕事を見つけるまでに、
とてもとても遠回りをすることになるだろう。

いや、シンガポールの地を次また
踏める確率は限りなくゼロに近い。
そのぐらいこの国のVISAは厳しいのだ。

ビジネスで上でも何度もやったこと。
でも、ここまでしたのは初めてかも。

もちろんね、会社でも一番忙しい時に
人が辞めるとか、採用してこれから
という時に休みを欲しがるとか、
そういうことはたくさんある。

別にそこにはなんの抵抗もなくて、
やっぱり一番の解決策は、話し合い。

猫の手も借りたいのは当然だけど、
そんな時こそ全ての私の時間を投下して
今どういう状況なのかを分かるまで
しっかりと話し合う。

そして議論を尽くしたら決断する。
それの繰り返しだった。

昔、サラリーマン時代に勤めてた
会社の上司がこう言ってた。

「キレたらお終いだよ。」

クタクタになった私達は、夜の7時ぐらいで
夕食も取らずに寝てしまった。

翌日朝に、エージェントから
今回の人の件と次の人を探す件で
連絡が入ることになっている。

電話するより話したほうが分かるので、
直接、エージェントのオフィスに出向くことに。

そこでまた、クビを切った
メイドとご対面することになったのでした。

続く。


The following two tabs change content below.
エグゼクティブクラブ代表の吉田です。 エグゼクティブクラブは9年に及ぶ実績を元に多数の成功者を輩出し、 14,000件以上に及ぶメール相談実績、2,700有余名以上の歴代会員サポート実績、 マニュアル・コンテンツ総数3300ページ以上、10名以上の講師陣によるサポート体制、 業界最大級の海外販売・個人輸出の会として、 あなたに的確なアドバイスをさせていただきます。
4か月 ago by in ビジネスマインド. You can follow any responses to this entry through the | RSS feed. You can leave a response, or trackback from your own site.

About

エグゼクティブクラブ代表の吉田です。 エグゼクティブクラブは9年に及ぶ実績を元に多数の成功者を輩出し、 14,000件以上に及ぶメール相談実績、2,700有余名以上の歴代会員サポート実績、 マニュアル・コンテンツ総数3300ページ以上、10名以上の講師陣によるサポート体制、 業界最大級の海外販売・個人輸出の会として、 あなたに的確なアドバイスをさせていただきます。

Copyright ©2018 海外販売をしよう! All Rights Reserved